先天性心疾患(心内膜床欠損)に立ち向かった小さな命

誕生するまで由宇斗、誕生心臓病発覚、最初の入院思いがけない言葉退院後の幸せな生活
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−とうちゃんが綴った−由宇斗物語
最終章 その後


苦しみから開放された由宇斗の体を○子が抱きかかえ、○子の実家を経由して私の実家に戻った。
少しでも由宇斗と一緒にいたいので、葬儀は家族中心の密葬とした。
28日の夜は由宇斗を真中に私と○子で初めて並んでやすんだ。
寂しがりの由宇斗のために、二人でずーと手を握ってあげた。
朝まで由宇斗といろんな話しをした。ろうそくの薄明かりの中、由宇斗は私達に心配かけまいといっぱい笑ってくれたようだ。
翌日の夜も狭い木の箱で一人ではかわいそうなので、○子と交代で由宇斗の枕もとに座った。
このときも私は由宇斗といっぱい話しをした。
私は由宇斗に謝った。「病院を選ぶときにもっと考えればよかったのかなぁ。手術をするという決定が間違っていたのかなぁ?」って。
「手術前に会えなくてごめんね」「病院にもあまり行けなかったよね」「夏休みももっともっと抱いてあげればよかったよね」「もっと無理して由宇斗との時間をとればよかったね」などなど、後悔することは山ほどあった。
そんな私の言葉を最後まで聞いてくれて、由宇斗は一息ついてくれた。
幻覚なんかじゃなかった。確かにそうだったのだ。
それは「そんなことないよ、そんなに悲しまないで」と言ってくれたのだろうか。
これが私に見せてくれた由宇斗の最後のやさしさだった。

ほんとうにやさしい子だった。
私にはいつも心配かけまいと安らかな寝顔ばかりみせていた。
泣いているときも、抱っこするとすぐに静かに眠ってくれた。
病院での付き添いのときも、仕事で疲れている私を寝させようと静かにしてくれた。
私達の命をあげると言ったのに、受け取ってくれなかった。
ふとこんなことを思った。「由宇斗は心臓病に生まれてきたのではない。由宇斗は心臓病の体を選んで生まれてきたのだ。そして私達を選んで」と。
由宇斗に感謝しなければならない。「こんなにも幸せを運んでくれてありがとう」って。
ただ、由宇斗が私達に贈ってくれた幸せに見合うだけの愛を、私達は与えられたどうかはわからない。
それもいつか由宇斗が教えてくれるだろう。
「なぜ由宇斗はこんなにも早く旅立ってしまったのか?」
これも誰にもわからない。
でも、すべての物事には意味がある。
由宇斗が私達のところに生まれてきてくれたことも、あっという間に旅立ってしまったのも、必ず何か意味があるに違いない。何かを伝えたかったに違いない。
今それが何かはわからない。
ただ今の私達にできるのは、このことを胸に刻み込んで強く生きていかなければならないということ。
由宇斗のためにも。
いずれこれもわかるときがくるであろう。いつの日にか。

ある心臓病の子どもをもつ親のホームページに素晴らしい言葉が載っていた。

☆引用1☆
 天国の特別な子ども

 天国の特別な子ども会議が開かれました
 地球からはるか遠くで
 「また次の赤ちゃん誕生の時間ですよ」
  天においでになる神様に向かって 天使たちは言いました
 「この子は特別の赤ちゃんで たくさんの愛情が必要でしょう
 この子の成長はとてもゆっくりに見えるかもしれません
 もしかして 一人前になれないかもしれません
 だから この子は下界で出会う人々に
 とくに気をつけてもらわなければならないのです
 もしかして この子の思うことは
 中々わかってもらえないかもしれません
 何をやっても うまくいかないかもしれません
 ですから私たちは この子がどこに生まれるか
 注意深く選ばなければならないのです
 この子の生涯が
 しあわせなものとなるように
 どうぞ 神様
 この子のために
 すばらしい両親をさがしてあげてください
 神様のために特別な任務をひきうけてくれるような両親を
 その二人は すぐに気がつかないかもしれません
 彼ら二人が自分たちに求められている特別な役割を
 けれども 天から授けられたこの子によって
 ますます強い信仰と豊かな愛をいだくようになるでしょう
 やがて二人は 自分たちに与えられた特別の神の思し召しを
 さとるようになるでしょう
 神からおくられたこの子を育てることによって
 柔和でおだやかなこの尊い授かりものこそ
 天から授かった特別な子どもなのです」

 Edena.Massimilla 作/大江 祐子 訳


私達は、この言葉を信じている。

2004年9月9日
由宇斗の父

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