先天性心疾患(心内膜床欠損)に立ち向かった小さな命

誕生するまで由宇斗、誕生心臓病発覚、最初の入院思いがけない言葉退院後の幸せな生活
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−とうちゃんが綴った−由宇斗物語
第2章 幸せを運んでくれた45日間

初めての自宅

15日、いよいよ今日で長い夏休みも終了、○子の実家から自分のちに向かって出発。
○子の両親にも手伝ってもらい、いっぱいの荷物を持って戻ってきた。
由宇斗にとっては、初めての我が家である。見慣れない景色にまたもあたりをキョロキョロ。
私は由宇斗を抱きながら部屋のあちこちへと行き、家族の写真やカレンダーや食器棚などいろんなものを説明してやった。
そして「ここがこれから由宇斗が暮らすおうちだよ」って。
由宇斗は1つ1つじっと見ている。「自分んちということがわかるのか?すごいぞ」と心で話しかける私であった。
あすとは自分のいろんなおもちゃを由宇斗にみせてあげている。
「由宇斗に早くよくなってそして大きくなって一緒に遊ぼうよとでも思っているのかなぁ」と考えるとこっちもうれしくなってくる。
ただ初めての家での生活はある意味では大変だった。これまでは実家でおじいちゃん・おばあちゃんが家事やらあすとの遊び相手やらやっていた。
それがここではどうしてもあすとに十分に手が回らない。それでかんしゃくを起こしてしまうのだ。
あすとにはちょっとかわいそうかもしれないが、この生活環境にも慣れてもらうしかなかった。
夜はいつものように由宇斗はミルクを飲ませて抱っこしていたらすぐに寝てしまったのだが、あすとがなかなか寝なくて結局1時間近くも由宇斗を抱いたまま待っていた。
これもいい思い出である。

16日、今日からは私は会社である。
あまり時間はないが、朝由宇斗としっかりとスキンシップをとってから出かける。
仕事も無理してでも早く終わらせて家に帰ってきた。由宇斗が家にいるのは3日間だけなので、この間だけでも家での時間を増やしたかった。
由宇斗との時間は寝るまでのほんの数十分だが、それだけでも私には十分だった。
これほどまでに抱いているだけで心が落ち着くものだとは思わなかった。重病のこどもを持つ親にしかわからない気持ちかもしれない。
昨日と同様に今日もあすとが寝るまで抱き続けることになった。でもそれは私にとっては幸せでもあった。
結局その後入院するまでの毎日、夜は私が抱きつづけることになるのであった。

18日の朝はあすとがどうしても保育園に行きたくないというので、私の代わりに○子が送ることとなった。
あすとにとってもこのような生活はストレスがたまるのであろう。
その間、私が由宇斗をみていることになった。私にとっては少しでも由宇斗といられるので、これでもよかった。
最初ベッドの上でおとなしくしていたが、おかあさんがいないことに気がついたのか次第に泣き出してしまった。
そのためまたも○子が戻ってくるまで由宇斗を抱っこすることになった。
不思議なもので抱くとすぐに泣き止んでくれる。やっぱり寂しいのかなと由宇斗のうつろな目を見ながら考えていた。
今から思えば、これも私に少しでも抱いて欲しくて、泣いていたんじゃないかと思っている。

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