先天性心疾患(心内膜床欠損)に立ち向かった小さな命

誕生するまで由宇斗、誕生心臓病発覚、最初の入院思いがけない言葉退院後の幸せな生活
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−とうちゃんが綴った−由宇斗物語
第2章 幸せを運んでくれた45日間

再入院

19日、いよいよ入院の日である、そして私は由宇斗と分かれる日である。
朝も大きな目を開けている。私はそれに誘われるように由宇斗の写真をとった。
この日、午前中は仕事を休み、由宇斗と○子を八事日赤に連れていった。○子の両親も待っていてくれた。
入院するところは、小児病棟ナースステーション横にある4人部屋の手前側のベッドとなった。これまでの産婦人科が広かっただけに、思っていたよりも狭い。
しかもナースステーションとの壁はガラス張りで、落ち着かないところでもある。付き添う方も大変そうである。
由宇斗はまた新しい景色にあたりをキョロキョロ、これまで病院生活が長かったせいか怖がる様子はなかった。
ここで看護婦さんより生活するにあたりいろいろな説明を聞いた。何せこれからこの病院で1ヶ月以上も過ごすことになるのである。
また付き添いは母親でなく父親でもいいとのことだった。それならばと、毎週土曜日は入れ替わることとした。
つまり21日にはゆっくりと会えるということである。それでなんとなく心が明るくなった。
その後明日のカテーテル検査の説明があるとのことで病室にて待っていた。由宇斗のミルクをあげてからその説明を聞きに行った。
手術ではないためそんなにリスクがあるわけではないが、乳幼児は全身麻酔をするため、それだけがちょっと不安ではあった。 午前中のみの休みのため、説明後急いで会社にもどらなければならなかった。
由宇斗の頭を撫でて「がんばって」と言って別れた。

20日、この日は病院へは行けなかった。
カテーテル検査が気になってメールで尋ねると、夕方くらいにやっと検査になったとのこと。
それまで由宇斗は腹を空かして泣き続けて、最後には泣く力もなかったらしい。その光景が目に浮かびかわいそうで仕方がなかった。
「注射は痛くないかなぁ」「麻酔から覚めたら気持ち悪くないかなぁ」って仕事中も思わず涙が出そうになった。
病院なので電話もできないのでその後の様子が心配だったが、翌朝に検査は無事終了したとのメールが入っていてちょっとはほっとした。

21日、今日から丸一日付き添いを○子と代わった。
そう待望の由宇斗とずーと一緒にいられる日である。よく考えたら由宇斗と二人っきりというのは初めてだ。
これまでは○子の手伝いでミルクをあげたりオムツを替えたりだけであった。すべて一人となると大変そうであるがその分楽しみでもあった。
また○子からメールであやすと声を出して笑うようになったと書いてあったので、それも楽しみだった。
この日の午前中はあすとと遊んでいたり、泊まりの準備などをしていたら、3時過ぎになってしまった。
あすとと二人で病院に行き、そこで○子と交代するのである。引継ぎが必要かと思い○子の父にもきてもらった。
由宇斗を見ると何やら顔にホースみたいなものが向けられており驚いたが、特に問題があるという訳ではなかった。
ちょうど由宇斗のミルクがミルクを飲むところなので、これらがひと段落したらと思っていたら、由宇斗がミルクを吐いてしまった。
「体調が悪いのでは?」と一瞬不安になったが、その後は何もなかったようにいつも通りすやすやと眠っていたので安心した。
カテーテル検査の結果、大動脈にも狭窄があることがわかったとのことを○子から聞いた。
またも病気が増えてしまった。もう慣れてしまったのか、そんなには驚かなかった。
4時頃みんなは帰り、ここから由宇斗と二人になった。しかし由宇斗は寝てばかりだ。
最初は頭を撫でたり、体をさすったり、手足を握ったりしていたが、起きてくれないので、テレビを見たり本を読んだりと退屈だった。
結局8時過ぎまで寝つづけ、私が最初にミルクをあげたのは8時半であった。薬もちゃんと飲んだし、ミルクも75mlといっぱい飲んでくれた。
「よくやった、これからとうちゃんとちょっと遊ぼうか」と考えていたら、またも寝てしまった。
普通なら次の授乳は11時半くらいなので、いっそのこと起きていようかと思い由宇斗のベッドに乗って寝転びながら待っていたが、これまたなかなか起きない。
そのまま知らないうちに寝てしまった。
「えっ、えっ」と由宇斗が声を出し始めた。私はすぐに目を覚まし時計を見た。すると2時半だった。
こんどは5時間以上も寝ていたのである。すぐさまミルクを作って飲ませた。
すると今度も80mlとたっぷり飲んで、またもすぐに寝てしまった。夜中に泣かれて寝かせるのに大変だろう覚悟してきたので、肩すかしをくらった感じであった。
次は朝の7時過ぎまでしっかり寝て、朝も私の方が早く起きるくらいだった。
この後午前中はちょくちょく目を開けていた。でも泣くことはなくそのまま知らないうちに寝ているのだった。
「私が同じベッドの上に座っているから安心するのかぁ」とも思ってみた。あとで○子も同じようなことを言っていた。
「やっぱりこんなに小さくてもよくわかるんだ」感心してしまう。
昼頃、次の授乳のミルクの準備をしようとしていると、私の属するHashというサークル?のメンバーがなんと10名くらい見舞いに来てくれた。
ちょうどミルク前だったため大きな目を開けているときなので、しっかりと笑顔をみんなに披露することができてよかった。
由宇斗も上機嫌そうだった。しかしさすがに空腹には耐え切れず、そのうちぐずり出してしまった。
その後、昨日のカテーテル検査の傷口の消毒をしてもらい、やっと待望のミルクとなった。
ちょっと焦らされすぎで機嫌が悪くなったのか、それとも疲れたのか30mlくらいで寝てしまった。
仕方なくしばらくしてベッドに置くとまた目を開けた。これではちょっと少ないかなと思ってさらに30mlくらい飲ませた。
しかし、昨日に続いて吐いてしまった。
やっぱり無理に飲ませたのがいけないようだ。反省して「由宇斗ごめんね、とうちゃんは少しでも強い体になってもらおうと急ぎすぎたね」と謝った。
それからは寝てしまったが、その後目を覚ますこともあったので抱っこして病院の廊下などを散歩してあげたが、やっぱりしばらくすると寝てしまうのであった。
3時半頃○子とあすとが来た。交代の時間だ。
結局由宇斗はほとんど寝てばかりで、ほんとに手がかからずに楽だった。楽過ぎてもう1日少なくも明日の朝まで付き添っていたかった。
○子の言う声をあげた笑顔も見えなくて残念だった。しかしそれはこの先まだ何回も付き添うのでそのときまでとっておこうと考えた。
「今度はもっといっぱい起きてて遊ぼうね」言って由宇斗と分かれた。

23日、○子から明日手術の説明があるの来て欲しいとのメールがあり、時間を夕方にしてもらった。
この日は病院には行けなかった。やっぱり八事は遠く名鉄病院と違って、仕事の合間とか昼休みとかにほんのちょっと顔を出すようなことができないのが残念だった。
やはり病院までの距離というのは長くかかる場合は影響するものだと考えていた。
この日の夜、あすとをハンディカムで撮影した。明日病院に持っていき○子と由宇斗に見せるために。
病室には入れないあすとの姿を、由宇斗にも見てもらいたかった。

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