先天性心疾患(心内膜床欠損)に立ち向かった小さな命

誕生するまで由宇斗、誕生心臓病発覚、最初の入院思いがけない言葉退院後の幸せな生活
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−とうちゃんが綴った−由宇斗物語
第2章 幸せを運んでくれた45日間

思いがけない言葉

27日、今日も仕事の合間に由宇斗の顔を見に病院に寄った。
面会スペースのところで○子に会うと退院についての先生から話しがあったとのこと。
「退院?」以前の話ではそんな言葉一言も出ていない。
「ひょっとして入院も必要がないくらい・・・?」などとよくないこと頭をよぎる。
そして今回も前回と同じ部屋で、二人は先生がくるまで緊張しながら待っていた。
先生が入ってきて、話しが始まった。
「現在、お子さんは安定しているようです、」
「えっ」心の中で思った。いい意味で予想とは違うみたいだ。
「体重も毎日少しづつですが増えていっています。・・・ですので、来週くらいに退院してはどうかと」
「ほんとですか?」と声をあげたのは○子だった。
思いがけない展開に驚きとともに喜びがこみ上げてくる。「『退院』つまり一緒に暮らせるんだ!」と心が躍る。
ひょっとしたら1年くらいこのまま入院生活かと思っていたので、この上のないうれしい言葉だった。
部屋を出て由宇斗を見た。今回は二人とも笑顔で由宇斗を見つめるのであった。
しかし同時に不安も湧き出てくる。
「本当に家で大丈夫なのだろうか?もし様態が急変した時などに家にいることで、命にかかわらないのだろうか?」と。
でもそれは今考えたくなかった。まずは一緒に暮らせる幸せな風景だけを頭に描きたかった。
一つ退院までにしなければならないことがあった。
それは以前にも言われた手術する病院の決定である。
退院した後は、その病院へ通院することとなる。名鉄病院から紹介し病状を伝える必要があるので今週中には決めないといけないとのこと。
前回の病気の説明のときこの病院からだと特に希望がなければ日赤か中京病院とのことだった。
日赤であれば第一つまり中村日赤の方が家からは便利である。ちょっと調べた感じでは小児科は有名だしこのような手術実績もあるので当初はここに決めようと思っていた。
ただ時間はまだあるので、仕事で関係のある医療コンサルティング会社や○子のおとうさんの友人に病院長の方などとにかく聞ける情報はすこしでも多くとった。
その結果日赤でも第二つまり八事日赤の方がよさそうとのことだった。
それ以外にも県外にいい病院があるとの話もあるが、残された家族の生活も考えるとやはり通えるところでないと困難だった。
そして二日間悩んで、最終的に私が八事日赤に決定した。
その間28日29日もなんとか時間をみつけて病院に寄り、由宇斗を見た。
○子の授乳時ではないので当然ガラス越しに見つめるだけである。でももうすぐ一緒に暮らせるんだという思いがあるので、見るだけで満足だった。

30日、今日も仕事の途中で病院に寄った。
エレベータで小児科の担当医と偶然一緒になり、退院のことについて話しをした。
退院の日は月曜日でなくてもよさそうなので、それならばということで休みが取りやすい火曜日でお願いしてみた。
また先生の話しでは、日赤の医師とはすでに電話で話を行い現在の状態なら入院ではなくやはり通院になりそうとのことだった。
もちろん実際の診察によるのだが、そんな情報でもうれしかった。
今日は病室前で○子と会いそのことを話した。○子にとっては曜日よりも通院か入院の方が気になるようで、「通院になりそう」ということを喜んでいた。
今日は由宇斗をちょっと見てさわることができた。相変わらずミルクはあまり飲めない。
私はそれを見ながら「がんばって飲んでくれ」と願うしかなかった。

31日、この週末は○子の実家に行くこととした。さすがに1週間もあすとの面倒を見ていると私の両親も疲れきっているので。
休日だとあすととも遊ばなければならないため、由宇斗の授乳中は二人で病院の近くの産業技術会館を見学していた。
その後、○子を病院で拾って○子の実家に移動してしまったので、この日は私は由宇斗には会えなかった。
また翌日の8月1日は、実家から病院までの移動途中にあすとが車の中で寝てしまったため、私と二人病院の駐車場で起きるまで待つことになった。
起きた後病室に行ったが、まだ授乳中だったため結局この日は帰りがけにちょっと由宇斗を見ることしかできなかった。
でも明後日には退院だったので、寂しくはなかった。
病院から帰った後、何年かぶりに車の室内の掃除を行った。特に荷台にはキャンプ用品やら登山用品やら一杯であった。
由宇斗は初めて病院の外にでることになる。少しでも雑菌の元になるようなものを減らすことにした。おかげで久しぶりに車がきれいになった。
もちろんベビーシートのカバーもすべて洗うことにした。
翌2日はその翌日に1日ゆっくり由宇斗と一緒に居られることから、珍しく病院には行かなかった。

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