先天性心疾患(心内膜床欠損)に立ち向かった小さな命

誕生するまで由宇斗、誕生心臓病発覚、最初の入院思いがけない言葉退院後の幸せな生活
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−とうちゃんが綴った−由宇斗物語
第2章 幸せを運んでくれた45日間

明日への希望

24日、仕事の合間に病院まで足を延ばした。
病院に着くとちょうど由宇斗のミルクのときだった。終わるのを待って結局由宇斗も含めて3人で聞くこととなった。
今回は手術を行う心臓外科の医師である。
この前の心臓カテーテルの検査を踏まえ、由宇斗の病状や手術の必要性やその方法などについて詳しく説明してくれた。
大動脈の狭窄が見つかったため、肺動脈だけでなくこれも手術しなければならないようだ。
そのため当初は次回の手術を考えて胸の中心を切る予定が、左脇のあたりへと変更となった。
将来大きな傷が2箇所残るが、男の子だから大丈夫だろう。「これは小さな体でがんばった勲章だ」と言ってやろうと考えていた。
手術は5〜6時間かかり、その前の麻酔に2時間程度はかかるだろうとのこと。最初はそんな長い時間の手術は大丈夫だろうかと思ったが、説明を聞いていると安心できた。
手術の後はICUに5日〜1週間くらい入るだろうとのことだった。
私は次第に「今回の手術はきっと大丈夫だろう」と思い、次回の手術について尋ねてみた。
「この子の心臓は次の根治手術でどれくらいの状態になるのでしょうか?」と。
「それは普通の人に比べてということですか?そういう意味なら普通の人と同じような生活ができるかもしれません」
さらに医師は続けた。
「心臓の左と右の壁を作ることは難しくありません。問題は上下の弁です。これを如何に逆流を起こさせないように成形するかにかかってきます。普通の人は弁が正常に形作られているので逆流はありません。この子の心臓は左右にうまく分かれて成長しなかったと同時に弁もうまくできていない。つまりその弁を外科的にうまく切ったり縫ったりすることで成形することで治すのです。多少の逆流では生活にほとんど影響はありません。また反対に多く逆流するからといって、それで生きられないわけではありません」
明快な答えだった。そう私はこれが聞きたかったのだ。
「手術がうまくいけば普通の人と同様になれる、仮に完全にうまくいかなくても死ぬわけでない。そうだ、手術で将来は開けるのだ」
私は心の中で何度も繰り返した。
このとき由宇斗が心臓病とわかってから、初めて将来の明るい光が見えた気がした。
腕の中で眠っている由宇斗を見て嬉しい涙がこぼれそうになった。
最後に今回の手術と輸血への同意書を提出して部屋を出た。
病室に戻ってからも心が弾んでいた。○子が食事をする間、気分よく由宇斗を抱いて廊下を散歩していた。
このときから今回の手術が終わってしばらくするまで、私はほんとに明るい気分であった。
そして私とあすとを写した写真も由宇斗のベッドに付けてきた。
「これでいつもとうちゃんも兄ちゃんも見えるよ」と言って。

25日は仕事で病院には行けなかったので、由宇斗の写真で我慢した。

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