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8/12〜18 8月12日、再び診察の日がやってきた。 日赤に向かう途中、シートベルトがいやなのか、激しく泣き出す。一生懸命あやしても、泣き止まない。あまりの激しさに心配になってくる。そして心配どおり、胸が苦しくなったのだろう。突然泣き止み、そのまま寝てしまった。 普段は元気で、心臓病を患っているようには見えないのだが、こういったときはやはり、由宇斗は病気なのだと改めて認識させられてしまう。 日赤に到着し、まず体重を計った。100gしか増えていない。10日で100gなら、1日10gしか増えていないことになる。やはりミルクが飲めなかったせいだろう。 レントゲンをとって、その後ミルクをあげる。そしてそのまま由宇斗は眠りに入ってしまった。 予約をしていたにもかかわらず、かなり長い間待たされた。1時間ほど待ったところで、ようやく名前が呼ばれた。 「体重が増えていないので、早めに1回目の手術をしたらどうか。」先生は言った。 「来週のカテーテル検査はとりあえず押さえてあるから。」と続けた。 では先生は前回の診察の時に、由宇斗がミルクを飲まなくなり、体重が増えないだろうということは、予想していたことだったのだ。 そんな、生まれたばかりなのに手術なんて・・・不安を口にする。 先生は「大丈夫ですよ。危険がないわけではないが、生まれたばかりの赤ちゃんでも行っている手術ですからね。」そう答えた。 「このままにしておくと、どんどんミルクを飲まなくなってくるから、体が衰弱して、そうなってからではどうにもならなくなるからね。それに心臓自体も前回よりもかなり大きくなっているし。」そう先生は言った。 心臓が大きくなってきているのはレントゲンの写真を見れば、素人の私でも1目でわかる。 体の半分が心臓で占められている。 病院に行く前から、心臓がもりあがっているのは服を通してでも感じていた。 手遅れになってしまうよりは、手術をした方が由宇斗が楽になるなら、それにこしたことは無い。私達は手術を承諾した。 診察室を出て、看護婦さんから入院の手続きの説明を待つ間、私はまたも涙が出てきた。 こんなにも小さいのに手術をしくてはならないなんて、かわいそうに。 大人の私でさえ、帝王切開の手術はつらかった。手術後の痛みはつらかった。 あんな思いをこんな小さな子にさせるのか。かわいそうに、かわいそうに。 ただ今回の入院は付き添いになる。一緒にいられるのだ。 そうなると、今度心配なのはあすとの方だ。帝王切開の時の10日間の入院でさえ、かなり精神的に参っていた。今回は1ヶ月だ。少しでも今日からあすとと一緒にいてあげよう。 家に帰ってから由宇斗にミルクをあげるのだが、前の授乳から時間がたっているにも関わらず、30cしか飲んでくれない。こんだけしか飲まないのだ。手術することになっても仕方がない。私は入院までの間、ほんとうにがんばってミルクを飲ませた。 少しでも体力をつけて、手術を乗り越えてもらわなくてはならない。 少しでも泣くと私はミルクを用意した。その効果があってか、病院に行った次の日から1日の授乳量が増えた。最初からこのように飲ませていればよかったのだ。今となってはもう遅い後悔だ。 8月15日、あすとの保育園が始まるので、私達は清洲の家に戻った。 由宇斗とあすとが並んで車の後ろに座るのは初めてのことだ。 最初のうちはあすとが由宇斗の頭を撫でたりしていたが、そのうち寝てしまった。 由宇斗も寝ている。車の中は平和だ。我が子2人が並んでいるのを見ると、幸せを実感する。 清洲に着いても2人は寝ていた。この間に○明さんは実家から持ってきた荷物を部屋に運ぶ。 車が止まっているので、シートベルトが苦しいのか、由宇斗がぐずり始めた。 私はチャイルドシートから由宇斗を持ち上げ、車の外に出て由宇斗を抱っこしてあげた。 由宇斗にとってはじめての外気浴だ。気持ちよさそうにまた眠りに入る。 ベッドの用意ができたので清洲の家に由宇斗と一緒に入った。 ○明さんが由宇斗を抱きながら部屋のあちこちを見せてまわっている。 由宇斗は目が見えるのか、きょろきょろあたりを見回している。 あすとも嬉しそうにおもちゃを由宇斗にみせびらかしている。 夜になると、あすとを寝かす時間だが由宇斗は起きていた。 私がミルクをあげると、あすとがやきもちでかんしゃくを起こすので、○明さんがミルクをあげてくれた。ベットを置いたせいで、布団の位置が変わったからなのか、機嫌が悪いからなのか、あすとはなかなか寝付いてくれない。○明さんはその間ずっと由宇斗を抱いていたのだ。 大変だったろうに。 清洲の家で過ごした3日間は、不思議と○明さんが家にいる時間帯に由宇斗は目を覚ましている。 おかげで○明さんは家にいる時間のほとんどは由宇斗を抱っこしているはめになった。 入院中お父さんに会えないとわかって、少しでもお父さんに甘えようとしていたのだろうか? 由宇斗の行動を見ていると、これから先に何がおきるのかわかっていたんじゃないだろうか、と思わせることが度々ある。今回のこともそうだった。 実家と違い、清洲の家では家事は私1人でこなさなくてはならないので、どうしても由宇斗ばかりに構っていられない。由宇斗を1人ベットに寝かせていると、寂しいのかぐずりだす。顔が見えるように、ベットから降ろし、リビングの床に寝かせると、不思議と泣き止んで、知らないうちに眠っている。やはりそばにいるとわかっていれば、安心なのだろうか。 由宇斗はまだ外に出せないので、あすとの保育園の送りは○明さんに、お迎えは○明さんの実家に頼んだ。帰りはそのままおばあちゃんの家に遊びに行くので、あすとの帰りは6時頃だったため、比較的ゆっくりと家事もでき、由宇斗の相手もできた。 夜は○明さんが早く帰ってきてくれてあすとをお風呂に入れてくれた。 再入院の前日、明日からお母さんが入院するとわかっているからなのか、あすとの精神状態がかなり不安定になってきた。保育園に行きたがらないので、私が送っていくことにした。家に戻ると、○明さんが由宇斗を抱いている。ぐずっていたらしい。 この日、由宇斗も大好きな家族と離れるのをいやがってだろうか、朝からずっとぐずりっぱなしだ。おかげで抱っこしっぱなしで、家事がなかなか進まない。おまけに予想通り、今日はあすとがおばあちゃんの家に行かず直接家に帰ってきた。 由宇斗も気になるのだが、明日からあすとと離れるのだ。今日はあすとのわがままを聞いてあげよう。 でも相変わらず由宇斗はぐずっている。ぐずっているだけならいいのだが、泣き出してしまうと、心臓のほうが心配になってくるので、あすとに許しをもらって由宇斗を抱きかかえながらあすとの相手をする。でも由宇斗が普通に生まれていたら、こういった生活が日常茶飯事なのだろう。今まで由宇斗がおとなしすぎたのだ。 夜も例のごとく、ぐずって○明さんにずっと抱かれっぱなしだ。 寝る時間になって、ミルクを飲んでもまだぐずっている。 由宇斗がぐずっていると、その声が気になるのか、あすとも眠れない。 仕方ないので私がおっぱいをあげて落ち着かせようとした。 私が由宇斗におっぱいをあげているとき、かみなりがなった。あすとはかみなりが嫌いだ。 泣きながら「ぼくも赤ちゃんになりたい」と言っている。 「どうして?」と聞くと、「かみなりがこわいから、ぼくも抱っこしてほしい」と言う。 私は由宇斗におっぱいをあげているのであすとを抱っこできない。 手はつまっているが、足は空いているぞ。 あすとに膝枕をしてあげた。すると、安心したのか10分もしないうちに眠り込んでしまった。かわいそうに。あすとには寂しい思いをさせてしまっている。 次へ |
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